■グループ アートヒル事務局 大塩忠雄・中本二一・山本知司・八木俊實
山陰海岸が共通テーマ
世界登録をめざす山陰海岸ジオパークの周辺がにぎやかだ。 鳥取で活動する具象絵画グループは、第4回を迎えた作品展の共通テーマに、この山陰海岸を立てた。「2010アートヒル展」の4人だ。出品する8点の中に、山陰海岸を交えることにした。それぞれがきっぱりとして、確信に満ちた画風を見せていて楽しい。
新協美術会委員の大塩忠雄さん。パステルで「東浜の奇岩」(F20)を描いた。大量の光と潮風が海に溶け込み、荒々しい岩をさらしている。毛羽だった波が心地よい。これに対し「荒海」の連作は、力強くしぶく波をとらえて、激しい。
物思いに沈む「丸い椅子に座る女」(F6)を包むのは、画家の心から放散する優しさかもしれない。「休日の港」(P8)にもそのことを感じる。大塩さんの画境は幅広く深い。
水彩教室講師の中本二一さんは、嵐の余波をかぶる「山陰海岸」(F30)を発表。神経質で無愛想で、かと思うと絵の具をそのままなすりつけたり筆で描きなぐったり躍ったり引っぱったりと、かなり変幻自在。流動する海岸のイメージは、F30の枠からあふれそうだ。中本さんの内奥にぐいと迫る感じがした。
作品はほとんどその現場で仕上げるという。画面と何を対話しながら描きこんでいくのだろうか。「大山」(F20)は、寒色と折り合いをつけながらの構成と思える。小品ながら「魚」「花」も好ましい。水彩は透明だ。
油彩教室の講師・八木俊実さん。朝の陽光を受けて光る岩肌と澄明な海水。「城原海岸の朝」(F30)はゆるぎない構図を取る。みっしりと絵の具を重ねて力強い。
このほか「汚された川」(F10)、「初夏の道」(F15)、「静かな四重奏」(F10)と佳作が並ぶが、とくに後者はメトロノーム、リコーダー、画集、花の4点を収めておもしろい。文字通り四重奏曲が聞こえてきそうだ。
光風会所属の山本知司さん。「鎧の奇岩」(F30)「山陰海岸」(F10)が共通テーマに沿う作品だ。2作とも、がっぷり山陰海岸の巨岩に取り組んでいる。重層な迫真力だ。色彩が幾層にも輝き、絵の表情はさらに多彩になる。
そして「食卓の海老」(F6)。喜色にあふれている。エビがエビの姿で横たわっている。なんとなくおかしい。「河川の春」(F8)、「冬の野菜」(F8)もそうだ。なぜかわからないが、おかしみがある。
さて4回展の今年、会員のひとりは「自分の絵を仲間とともに広げることができ、うれしい」と述懐した。なるほど、と思う。
(文芸誌『断層』同人・須崎俊雄)
2010年(平成22年)7月22日木曜日 日本海新聞掲載記事より
■グループ アートヒル事務局
大塩忠雄・中本二一・山本知司・八木俊實
山陰海岸が共通テーマ
世界登録をめざす山陰海岸ジオパークの周辺がにぎやかだ。 鳥取で活動する具象絵画グループは、第4回を迎えた作品展の共通テーマに、この山陰海岸を立てた。「2010アートヒル展」の4人だ。出品する8点の中に、山陰海岸を交えることにした。それぞれがきっぱりとして、確信に満ちた画風を見せていて楽しい。
新協美術会委員の大塩忠雄さん。パステルで「東浜の奇岩」(F20)を描いた。大量の光と潮風が海に溶け込み、荒々しい岩をさらしている。毛羽だった波が心地よい。これに対し「荒海」の連作は、力強くしぶく波をとらえて、激しい。
物思いに沈む「丸い椅子に座る女」(F6)を包むのは、画家の心から放散する優しさかもしれない。「休日の港」(P8)にもそのことを感じる。大塩さんの画境は幅広く深い。
水彩教室講師の中本二一さんは、嵐の余波をかぶる「山陰海岸」(F30)を発表。神経質で無愛想で、かと思うと絵の具をそのままなすりつけたり筆で描きなぐったり躍ったり引っぱったりと、かなり変幻自在。流動する海岸のイメージは、F30の枠からあふれそうだ。中本さんの内奥にぐいと迫る感じがした。
作品はほとんどその現場で仕上げるという。画面と何を対話しながら描きこんでいくのだろうか。「大山」(F20)は、寒色と折り合いをつけながらの構成と思える。小品ながら「魚」「花」も好ましい。水彩は透明だ。
油彩教室の講師・八木俊実さん。朝の陽光を受けて光る岩肌と澄明な海水。「城原海岸の朝」(F30)はゆるぎない構図を取る。みっしりと絵の具を重ねて力強い。
このほか「汚された川」(F10)、「初夏の道」(F15)、「静かな四重奏」(F10)と佳作が並ぶが、とくに後者はメトロノーム、リコーダー、画集、花の4点を収めておもしろい。文字通り四重奏曲が聞こえてきそうだ。
光風会所属の山本知司さん。「鎧の奇岩」(F30)「山陰海岸」(F10)が共通テーマに沿う作品だ。2作とも、がっぷり山陰海岸の巨岩に取り組んでいる。重層な迫真力だ。色彩が幾層にも輝き、絵の表情はさらに多彩になる。
そして「食卓の海老」(F6)。喜色にあふれている。エビがエビの姿で横たわっている。なんとなくおかしい。「河川の春」(F8)、「冬の野菜」(F8)もそうだ。なぜかわからないが、おかしみがある。
さて4回展の今年、会員のひとりは「自分の絵を仲間とともに広げることができ、うれしい」と述懐した。なるほど、と思う。
(文芸誌『断層』同人・須崎俊雄)
2010年(平成22年)7月22日木曜日 日本海新聞掲載記事より